実際にお手持ちの印刷楽譜を取り込んで認識する場合、スキャナで取り込むときの設定や、スキャナへの楽譜の置き方、認識を実行するときのオプションの設定などによって、 認識結果が大きく変わってくることがあります。 認識結果が思わしくない場合、その後の修正作業が大変になります。そこで、より正確に認識できるコツをいくつかご紹介しましょう。
正確に認識させるためには、できるだけ良い状態でスキャンする必要があります。次の点に注意しましょう。
製本された ( 特に頁数の多い ) 楽譜の場合、スキャナに乗せたときに内側が曲がったり、光が差し込んだりしないように注意する。
できるだけ水平に楽譜をセットする。
楽譜がガラス面から浮かないように注意する。
解像度は、正確に認識させるためには大変重要になってきます。この解像度はスキャンする楽譜の五線の高さ( 第1 線から第5 線までのサイズ)によって適正な値が決まってきます。
この式は、五線の高さが7mm の楽譜( 一般的な五線紙のサイズ) の場合、350dpi の解像度が最適であることを意味します。 例えば、五線の高さが5mm の楽譜の場合、 (7 x 350) / 5 = 490dpi となり、およそ500dpi 程度が適正な解像度ということになります。
スキャンした画像の解像度は、画像の左上に表示されているページ番号上に、マウスカーソルを移動させることで確認できます。
スキャナの大きさに対して印刷楽譜の大きさがギリギリの場合など、五線の左右いずれかの端がスキャンできていなかったり、 見開きの内側でスキャナのガラス面に密着できないためにピンボケして取り込まれたりすると、 五線のパート構成が正しく認識できないことが往々にしてあります。 特に左端は、五線の構成を決める括弧や、音部記号などの重要な情報があるので、その部分がきちんと取り込まれているか確認しておきましょう。
スキャナドライバの画面で、「カラーモード」「画像の種類」「用紙の種類」など(スキャナの機種によって用語は異なります) の項目名で、 楽譜の取り込み方法を選択するようになっています。このとき、「グレースケール」または「白黒写真」(機種によってはこれに準ずる選択肢)を使って取り込むと、 たいていは良好な認識結果が得られます。
「しきい値」を手動で適切に設定することで、より認識精度を高めることができる場合があります。 「しきい値」を変えると、かすれていた記号や、五線が正しく表示されます。 「しきい値」の調整は、編集メニューの、2値化しきい値の設定(K)...を実行します。
「パート構成」ステップと、「認識実行」ステップには、認識対象となる楽譜の何を認識させるか(させないか)をオンオフできるオプションが用意されています。
たとえば、リズム譜がない楽譜で、「パート構成オプション」の「リズム譜」にチェックを入れた状態で認識させると、
楽譜の汚れ(折り目) などをリズム譜の五線として認識してしまったりすることがあります。
認識対象に見合ったオプションのオンオフを適切に設定することで、良い認識結果を得ることができ、後で楽譜を修正する作業を大幅に減らすことができます。
サイドバーの「パート構成」の右にある歯車ボタン、または「リズム譜ON タブ譜ON」をクリックすると、「パート構成オプション」ダイアログボックスが表示されます。
リズム譜、タブ譜を認識するかどうかを設定できます。
サイドバーの「認識実行」の右にある歯車ボタンをクリックすると「認識実行オプション」ダイアログボックスが表示され、各種の設定ができます。
以上のコツを取り入れても、なお認識結果は100% になるわけではありません。 元の楽譜の印刷品質や紙の質に影響されることもあります。 また、コピー機で一度コピーした楽譜は、見た目以上に五線がかすれていたり、黒玉の符頭の中に白い抜けがあったりすることで、 認識結果が極端に悪くなることがあるので、オリジナルの印刷楽譜を使用するようにしてください。 なお、人の手によって手書きされた楽譜は、スコアメーカーの認識対象とはなりません。